2007年1月 6日 (土)

まだ見ぬ人へ

ワンワン。また、愛犬そらに起こされた。「わかった。わかった。朝の散歩だね。」

私の朝の日課である。昔ほど元気ではないが、そらとの散歩のおかげで健康が保てているようだ。そらにリードをつけると自らバックに飛び込んでくる。バックを担いでよっこらしょ。

マンションの廊下に出る。廊下の手すりを伝いながら歩く。歩きながら「このマンションも、もう築30年を超えたな。」と思った。築30年以上のマンションの建替えをスムーズに進められるようにとマンション建替え円滑化法ができた20年前の頃を思い出す。

あの時は、娘が不治の病になり、もう娘の病気は治らないと覚悟を決め、親亡き後も娘が幸せに暮らしてゆけるようにと色々考えた。少なくとも住処である、このマンションにずっと住んでゆけるようにと長期修繕計画を練り直した。築60年以降に建替え、そのときに一時金が発生し、払えない為にマンションを追い出されないようにと考えた。更に年老いて行く住人、娘の為に、マンション全体をバリアフリーにした。

マンション管理士である私は、この経過を自らのホームページで情報発信。内容をまとめた本がベストセラーとなった。現役を退いた私は自主管理となった我がマンションの管理者となり事務をやる傍ら、20年前にマンション管理士有志達と立ち上げたホームページサイトを通してくるマンション住人達の相談事にコメントを書いている。

あのサイトのおかげで分譲マンションの世界が変わった。分譲マンションを買う人は、マンションの耐震構造にも注意を払うようになった。マンション管理への関心が高まり良好に維持されるマンションが増えた。マンション内には、私が勤めた会社の最後の仕事として関わったマンション内電子情報システムが稼動している。地上デジタル放送に対応して普及したデジタルTVを通してマンション内の情報を観る。このシステムのおかげで、一人住まいの老人の状況もすぐに判るようになった。お知らせ情報が住人のコミュニケーションにも一役買っている。

マンションの外に出た。そらは歳老いた私に気遣いながらゆっくり歩いてくれる。遠くから声がした。「そら! おじいちゃん。おはよう。」早起きの孫が、また一緒に散歩してくれようと来てくれていた。私「ママは?」、孫「付き合いきれないからと、家で寝ているよ。」

ママとは私の娘の事である。そう、娘は結婚したのである。あれから、医学のめざましい進歩により不治の病と思っていた娘の病気が治った。そして普通に暮らせるようになった。今は、結婚して近くに所帯を持って幸せに暮らしている。娘の幸せが何よりだ。両家、そろってたった一人の孫娘の行く末を案じながら亡くなった母は天国で微笑んでいるだろう。

散歩から帰ったら家内が迎えてくれた。20年前、自分の母と娘の介護に明け暮れ疲れきっていた家内も、今は幸せそうだ。「今度、暖かくなったら、二人でゆっくり北海道を旅行したいね。」実家へ帰りがてら親子三人でまわった北海道旅行が懐かしい。

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